名頃駐車場に雨が降る。しかし、そこは多くの登山者の熱気に溢れていた。わたしたちも、その熱気の渦へと、入っていく。かつては、車が走っていた三嶺林道を歩く。平尾谷川の瀬音が遠くなると、登山口はすぐそこだ。
背の高い樹木が、気持ちの良い間隔で立ち並ぶ、植生豊かな森。林床には、色とりどりの落葉が積もる。ブナが聳えている。大きく枝を張り、受け止めた雨粒は、幹の上を川となって流れ、根元へと送る。その幹の川には、河畔林のように豊かな苔が茂る。銀色のはずのブナの幹は、ここでは、モスグリーン。
登山道が東からの尾根にぶつかる頃、植生は大きく変化する。尾根の上は、ダケモミの黒い森が広がっていた。イチゴジャムを、炊いたときのような香りが、充満している。ダケモミの脂の爽やかな香りだ。 |