剣山スーパー林道釜ヶ谷の入口は、閉鎖されたままだ。しかたなく、川成の迂回路を目指す。美しい釜ヶ谷に沿った道を、のんびりドライブ。豪快な大釜の滝、大轟の滝を見ながら、やっとの思いでたどり着いた登山口は、風の広場。蒼天には巻雲が浮かび、秋風がそよいでいた。
緩やかな尾根の上に、夏の勢いを残す樹木が、柔らかな木漏れ日を落とす。すでに標高は1400mほどあり、「登る」という感覚は薄い。足下に、ふっくらとしたかぶと状花冠を、たわわにつけるシコクブシが、咲いている。しかし、様子がおかしい。葉がほとんどついていない。まさかとは思ったが、どうやらニホンジカの仕業のようだ。こんな毒草にまで、食害が及んでいる。
その先には、テンニンソウの大群落があったはずだが・・・。やはりここも、ニホンジカの被害があった。自然とは、奇跡的なバランスの上に、成り立つものだ。鹿に責任があるわけではないが、何らかのアクションを起こすときが、きていると思う。
もう花の時期は過ぎたが、オオヤマレンゲの群落地の様子を見に行く。ここも食害を恐れ、大きな金属製の策が、張り巡らされている。しかし、その中でオオヤマレンゲは、健気に実を結んでいた。
奥に進むほどに、山野草の状態もよくなり、それぞれの花を美しく咲かせている。鮮やかな茜色のフシグロセンノウが、青空と森の緑を、脇役に追いやる。長い柄を、20cm以上も伸ばし、大きな傘を開いたキノコ、カラカサダケ。薄紫の体に、艶やかなぬめりを纏う、ムラサキアブラシメジモドキ。秋の実りも、溢れ出す。目の前に現れた、こんもりとした丘の上が、山頂だった。
遥か西に、一ノ森を従える剣山、背後には高城山。山頂の木陰で山座同定を楽しむわたしたちを、冷たい秋風が撫でていった。 |