四国中央市の背後に聳える、法皇山脈。その中でも、一際美しい名前を持つ山、翠波峰。車で山頂直下までアプローチできるため、幅広く親しまれている。
この時期、盛りを迎えるコスモス畑を見下ろす展望台から、山歩きが始まった。緑の下地の上に染め抜かれた、色とりどりの花柄模様。その斜面の滑り込む先には、金砂湖が鏡像を映し、水を湛える。北に聳える秀峰は、赤星山、二ツ岳。その連なりは、押し寄せる雲に、飲み込まれようとしている。
よく整備された遊歩道を辿り、西峰から東峰を歩く。眼下に見渡せるはずの瀬戸内海は、霞の下に沈みこんでいた。
再びバスに乗り、県境を越えて徳島へ。吉野川を渡り、池田の山道をくねくねと走る。突然、眼前に広がる緑のアシ原。小高い丘には、アカマツが立ち並び、涼やかな風が渡る。そこは、黒沢湿原。標高550mに広がる、植生豊かな盆地。
アシの中から、ひょっこりと顔を出す花を見つけては、その名を呼ぶ。それはまるで、野草たちとのかくれんぼのようだ。派手なピンクはミソハギ、キキョウやコオニユリは首を伸ばし辺りを窺う、湿原すれすれに飛び交うサギソウ・・・。
みんな隠れるというより、見つけて欲しそうだ。
厳しく、人を寄せ付けない山もあり、優しく、人を受け入れる山もある。どちらもやはり山であり、そして素晴らしい場所だ。
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